
ビルの壁に描かれたゴール。このスポーツがマカオに定着していることを表している

中国本土とは運河を隔てて目と鼻の先。不法入国防止のために金網が張られている

香港同様に高層ビルが立ち並ぶ。スタジアムは2つしかない
中華人民共和国・特別行政区、マカオ。
高層集合住宅の群れが、背伸びするように林立する。
最上階に近くなっても、窓の多くには防犯用の鉄格子が取り付けられている。格子の中には洗濯物が無造作につり下げられている。最上階を明るく覆う光線は、階が下がるにつれ減少し、高層ビルの底の路地は、昼でも暗い。
マカオ経済は、博打で成り立っている。
サッカーも賭けの対象になる。サッカー好きは、試合開始1時間前まで街のあちこちで営業しているサッカーくじ売場に出かける。しかし、彼らがリーグ戦を見にでかけることは、ほとんどない。彼らは、もっぱら欧州リーグをTVで楽しむ。
「サッカーの知識は豊富で、ポテンシャルは溢れているが、向上心に欠けるのが問題だ」
今年のマカオ代表・日本人監督、今井雅隆は、こう分析する。
マカオがポルトガルから中国に返還されて約3年半。中国本土とは特別行政区としていまだに分離している。“旧宗主”はかなたに去り、“本国”との距離はまだ遠い。
「空間と可能性が限られた狭い島」、「行き詰まり」。そんな感覚がマカオの若者から、やる気を奪う。
マカオで成功するには、まず学業で優秀さを示さねばならない。そのため、ここの親たちも、我が子がサッカーよりも勉強に励むことを希望する。「学業優先」の気運もマカオ・サッカーの成長の足を引っ張る。
現在、代表チームは2005年東アジア競技大会での好成績を目指して準備中だ。今井は、チームの強化以前に、選手のサッカーへの情熱を掘り起こすという草の根的仕事もこなさなければならない。
マカオの住民同様、マカオ・サッカーも出口が見つからない。

衛星放送の影響か、少年はレアル・マドリーのユニフォームだ

高層ビル街と対照的な植民地時代の家並み
※『東アジアサッカー選手権2003 決勝大会公式ガイドブック ニューエディション』より