東アジア女子サッカー選手権2010決勝大会３日目（東京）の10日、中国女子代表と韓国女子代表が対戦し、中国が２-１で競り勝った。１勝１敗とした中国女子代表は大会最終日の13日にチャイニーズ･タイペイ女子代表と、韓国女子代表は日本女子代表とそれぞれ対戦する。

前半押し込まれていた中国が後半の２ゴールで勝利をもぎ取った。試合開始直後こそFW韓端(HAN Duan)のスルーパスで抜け出したMF尤佳(YOU Jia)が決定的なシュートを放ち、MF畢妍(BI Yan)を中心とした中盤から好機をつくりだしていたが、その後は韓国の組織的な守りと対人でも強さを発揮するキム・ユミ(KIM Yoo Mi)とキム・ドヨン(KIM Do Yeon)の両センターバックの前に攻撃が沈黙。中盤のセカンドボールの攻防戦では優位に立っていたものの、逆にDFラインの背後を突く韓国に決定機をつくられていた。

韓国は今大会初先発のFWチ・ソヨン(JI So Yun)が存在感を発揮。技術の高さと相手の逆を突くプレーも見せる18歳のFWと初戦２得点のMFイ・ジャンミ(LEE Jang Mi)がチャンスに絡み、中国ゴールへ迫っていく。16分には左サイドを抜け出したチ・ソヨンが独走。GKと1対１となる絶好のチャンスだったが、シュートは中国GK張艶茹(ZHANG Yanru)の正面を突いてしまう。韓国は28分にもイ・ジャンミとMFチョ・ソヒョン(CHO So Hyun)のコンビで中央突破。だが、ゴール前の局面での工夫がなく、得点に結びつけることができない。36分には左CKのこぼれ球をつなぐとDFの背後を突いたMFチョン・カウル(JEON Ga Eul)のラストパスのこぼれ球がチ・ソヨンの前にこぼれる。だが、チ・ソヨンの渾身の右足シュートはクロスバーを直撃。東アジアサッカー女子選手権2005大会以来となる中国戦勝利へ向けて勢いづいていた韓国だったが、リードを奪うまでにはいたらなかった。

決定機を生かせなかった韓国のイ・サンヨプ(LEE Sang Yup)　監督が「男子と女子との違いは瞬間的な出来事を引きずってしまうところにあると思う。(クロスバーに当たったシュートを)得点できていたらリズムに乗って後半も攻めることができたと思うが、チャンスを逃したことで動揺してしまい、焦りがプレーに出てしまった」と残念がったが、試合巧者の中国はその隙を見逃さなかった。DF袁帆(YUAN Fan)が「前半は相手の攻撃に戸惑っていた。でもハーフタイムに監督から『切り替えろ。ただアグレッシブになり過ぎるな』と言われて気持ちを上手く切り替えることができた」と振り返ったように、前半の劣勢から上手く切り替えて後半を迎えた中国は立ち上がりの６分、MF龐豊月(PANG Fengyue)がタッチライン際から絶妙な右クロス。これをDFとDFの間に上手く飛び込んだMF馬暁旭(MA Xiaoxu)が頭で押し込み、先制点を奪った。

韓国は２分後、2008年決勝大会で中国から２得点を奪っているFWパク・ヒヨン(PARK Hee Young)に代え、FWチョン・ヘイン(JUNG Hae In)を投入。だが、リードを奪った中国は冷静なカウンターから効果的な攻撃を繰り出す。そして17分、貴重な２点目のゴールが生まれた。中国は畢妍の右CKを二アサイドで袁帆がヘディングシュート。これが韓国GKの股間を抜けてゴールへ吸い込まれた。

23分にFWユ・ヨンア(YOO Young A)を投入した韓国はイ・ジャンミを前線に上げて反撃を試みる。ボールを持ちながらも攻めあぐねていた韓国の反撃が実ったのは40分。ゴール正面、ペナルティエリアやや外で得たFKをチ・ソヨンが右足でゴール左隅へ沈めて１点差へと迫った。ただ、あと1点が遠く、「もう少し時間があれば同点に追いつくことができた」とチ・ソヨンは悔しがったが、そのまま試合終了。商瑞華(SHANG Ruihua)監督が「初戦で日本チームに負けていたが、チームのメンバーに心理的に変化があったと思う。非常に価値のある勝利」と讃えた中国が今大会初勝利を飾った。