東アジア女子サッカー選手権は大会４日目の11日、日本女子代表とチャイニーズ･タイペイ女子代表が対戦。16歳のFW岩渕真奈(IWABUCHI Mana)が代表初ゴールを含む２ゴールを決めるなど、日本女子代表が３-０で勝ち、２連勝とした。首位へ浮上し、連覇に王手を懸けた日本は、13日の最終戦で２位の韓国と対戦。チャイニーズ･タイペイは同日、初勝利を懸けて３位・中国と戦う。

日本期待の新星・岩渕が粘り強くゴールを守るチャイニーズ･タイペイゴールをこじ開けた。初戦の中国戦から先発８人を入れ替えた日本は試合開始から圧倒的にボールを保持。２分にMF宮間あや(MIYAMA Aya)の右FKのこぼれ球をMF菅原優衣香(SYGAWARA Yuika)が詰めようとしたほか、19分のMF木龍七瀬(KIRYU Nanase)のシュートなど一方的に相手を攻め立てる。ただ、チャイニーズ・タイペイは、技術と判断力に優れた林曼婷(LIN Man Ting)と余秀菁(YU Hsiu Chin)の両センターバックを中心としたDF陣が、集中した守りを披露。相手の最終ラインの裏を狙うパスやクロスボール、そしてセットプレーを根気強く跳ね返し、ゴールを守っていく。日本は26分に左CKのこぼれ球に反応した木龍が左足を振りぬくが、相手DFをかすめたシュートは右ポストを叩きゴールの外へ。28分には左クロスにFW高瀬愛実(TAKASE Megumi)が飛び込むが、チャイニーズ・タイペイGK黄鳳秋(HUANG Feng Chiu)の果敢な飛び出しに遮られた。

チャイニーズ・タイペイは献身的に走り回るMF謝宜玲(HSIEH I Ling)が中盤で相手のパスを引っ掛けだすなど、日本を完全に攻めあぐねさせていた。だが、日本は3６分、敵陣右サイド、ペナルティエリアでインターセプトした宮間がドリブルでひとりかわすと、タッチライン際から絶妙な折り返し。ニアサイドへ飛び込んだ岩渕が「宮間さんがいい切り返しからいいパスをくれた。私は合わせるだけだった」と左足ダイレクトで代表初ゴールをゴール左隅へと流し込んだ。

畳み掛けたい日本だったが、引いて守るチャイニーズ･タイペイはその後もペナルティ･エリア内で健闘。後半10分にはMF中野真奈美(NAKANO Manami)が左サイドを突破するものの、浮き球を捉えた岩渕のシュートはGK黄鳳秋がブロックし、こぼれ球に反応した高瀬のシュートも黄鳳秋に阻まれた。思い通りに攻められない展開の中で再びゴールを奪ったのは、後半から右MFへポジションチェンジしていた岩渕だ。1４分、日本は菅澤からパスを受けた中野がドリブルで対面のDFをかわし、グラウンダーのラストパス。ファーサイドから飛び込んだ岩渕がスライディングでゴールへと押し込み２-０とした。

日本は後半1３分からエース澤穂希(SAWA Homare)が投入されたことで攻撃スピードに変化が加わり、相手を崩す場面を増やした。そして40分、左サイドで澤からのパスを受けた高瀬がDFのマークを外して逆サイドのゴールネットへ鮮やかな右足シュートを決めた。そのまま３-０で試合を終えた日本が、2008年決勝大会から東アジア女子サッカー選手権５連勝。代表キャップ５以下の選手７人を先発させながら、シュート数24-１で相手を圧倒した試合に佐々木則夫(SASAKI Norio)監督は「(試合会場の)国立(競技場)の雰囲気に呑まれるかと思ったが、伸び伸びとプレーしていた。90分間の中で、３-０で勝ったことは評価したい」。対して、敗れたチャイニーズ・タイペイだが、2008年のAFC女子アジアカップでは日本に０-11で敗れていただけに、今回大きな成果を得た。FW曾淑娥(TSENG Shu O)は「みんな良くやれていたと思う。今回は守備が課題でそこはできた」と胸を張り、周台英(CHOU Tai Ying)監督も「守り中心になったが、最後まで良く頑張った。ボールを奪うところが理想的でなく、攻撃はできなかったが、内容はよかった」と健闘した選手たちを讃えていた。